【新建築1979年2月号181頁】で、黒川哲郎は、
「構造は、斜線のかかる部分を、応力の大部分を受ける面的なところとしてまとめ、開口ゾーンの線的な水平・垂直な印象との対比をつくり出している」と述べています。そして、1974年の『黒田アトリエ』以来の永年のパートナー構造設計家の濱宇津正氏との打ち合わせについて、「力学的に健全であることをモットーとしているが、そのため、各部分での解決法が、全体としても脈絡とバランスをもち、エレメントとしても浮きたちすぎもせず、かといって隠されてもいないという必要がある。しかも余分なものを削ぎ落とし、それを外周部におこうとすることも同時に行うので、極めて難しい欲張った作業になってしまう」と葛藤を吐露しています。そして「構造を建築の下僕にせず、やはり力の表現の位置を保ちたい」とし、「さもないと建築はただの日常だけのものに、あるいは反対に非日常だけを求めていくものに堕してしまいそうな気がする」と自らを戒めています。
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