『山本邸』を掲載する1年前、第3回〈SD Review、1984〉に出展しました【SD1984年12月号】。
30年後に「スケルトンドミノシステム」として結実する、4つのセル
①スケルトン(骨格) S
②メンブレン(皮膜) Ⅿ
③アパラタス(循環) A
④インフィル(室礼) I
の原初の(まだ③と④は独立したセルに至ってはいませんが)イメージを、パネルと模型で表現しています。
パネルには、観光バスのコーチングビルディングのシステムからのスケルトンモノコック構造であること、そしてコルビュジエの「MAISON CITOROHAEN 1920」へのオマージュであること、を暗示させています。
模型の展示には、①と②と③④を、それぞれ独立したものとして作成し、宙づりにしています。それぞれのセルを独立させる、つまり長寿命を視野に入れて住宅をつくろうとする黒川哲郎の意気込みが感じられます。
コミッティ・メンバーの一人、竹山実氏は、「ガルバリュウム鋼板ということでかなりメタリックな感じになると思います。彼は建築の材料に詳しい人ですが、それ以上にシンタックスにスキがないというか、キッチリ決っている感じですね。模型のプレゼンテーションも無駄がなくて決まっている」
もう一人の槙文彦氏は「スキップフロアの扱いとか、内部と外部との一体的なつながりなど。かなり巧みなデザインだと思います。金属の外被とガラス面のディテールが成功すれば、実作品も単純なフォルムの美しいものになるだろうと想像します」とのコメントが見い出せます。
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